【個人事業から会社設立を検討している方向け】①会社にするってどういうことだろう?

(個人事業から会社設立を検討している方向けの記事をシリーズにしています)


【個人事業から会社設立を検討している方向け】①会社にするってどういうことだろう?

【個人事業から会社設立を検討している方向け】②会社設立の目的を考える~よくある3つの目的と、会社の形を決めるもう一つの大切な視点。

【個人事業から会社設立を検討している方向け】③会社と法人、どちらを選ぶ?



「会社」ってなんでしょうか。


身近な言葉だけど、説明するのってとっても難しいと思いませんか?



「起業=会社を持つ」とお考えの方もおられるかもしれません。

会社の方が信用されやすいと聞き、起業するなら会社を作らなきゃ!と思い込んでいませんか?



また、事業をはじめて所得が安定してきて、
「会社にしないの?」
なんて取引先などから聞かれ、会社設立を意識し出す方もおられます。

その質問の意図を知っていますか?
(実は質問している方もわかってないことが多いかもしれませんね)

会社設立は節税メリットもあるため、設立登記のご依頼は税理士さんからのご紹介が圧倒的に多いです。


確かに所得がある程度の規模になってくると、個人事業主の税負担はかなり重くなります。

それは、個人の所得税が所得額に応じて税率が高くなる累進課税制度となっているため、一定以上の所得になると会社の利益にして法人税を納めた方が安くすむからと、一般的には説明されます。


個人事業主は、サラリーマンのように収入の保証や失業保険、産休育休もないし、損が出てもだれかが補てんしてくれるわけでもない。

だけど一時的にでも所得が大きければ高額な税金負担…

税金が安くなるとなれば、会社設立を検討したくなります。



だけど、本当に個人事業より会社の方が信用力があるのでしょうか?

「あなた」にとって、節税メリットがあるのでしょうか?



一般的に言われるメリットデメリットが、「あなた」に当てはまるかどうかはとてもわかりにくいのです。



「私一人で仕事をしているのに会社にするってどういうことだろう。」

「本当に節税になるの?」

「節税以外に個人事業との違いはなんだろう?」



恵事務所は司法書士事務所ですので節税メリットについての判断はできませんが、今日は、「会社にする」とはどういうことなのか、どのように考えたらいいのか、というお話をさせていただきますね。


ここでは私が関わらせていただくことが多い、一人株主=一人代表取締役(社長)の株式会社で、社員がいないケースを念頭に置いています。


不定期ですがシリーズで配信しますので、会社を設立するのか、個人事業のままでいくのかの判断材料のひとつにしていただければ幸いです。


私の会社、でも「会社=私」ではない


一人株主=社長の会社を設立するとき、資本金という会社の元手となるお金は、株主である「あなた」が会社に出資します。


一人株主である「あなた」がお金を出すので、会社は「あなた」のものです。

だけど、会社は「あなた」とは別。

株主も、経営者も同じ「あなた」だと、会社も自分の一部のように感じてしまうかもしれませんが、会社と「あなた」は完全に別モノなんです。



大企業は船、一人株主=社長の会社はコピーロボット


会社は船、経営は航海に例えられることがよくあります。
経営理念(北極星のような、航海の指針となるもの)をもとに、ビジョンや理想の目標(目的の島)に向かって、社会全体の動き(天候や潮の流れ)や社内の状況(船の性能、状態、乗組員のスキル)を見据えながら、戦略(航路、速度)を考えてミッション(船長や乗組員がそれぞれなすべきこと)をこなしていく。

たしかに大企業に関してはこんな考え方がしっくりきますね。
だけど個人事業でやってきて、これから会社にしようかなと考えておられる方にとってはいまいちイメージしにくいように思います。

一人株主=社長の会社ですと、船よりロボットに例えた方が、わかりやすいでしょう。

ロボットといってもAIのように自分で学習する力のないロボット。

ドラえもんの、コピーロボットをイメージしてください。

会社(コピーロボット)は契約や取引の主体になります。
どういうことかというと、会社はお金や不動産を所有することができますし、商品を売ったり借金をすることもできます。
ただ、動かすのは社長(人間)です。
どんな商品をどのように作り、誰に売ろうかと考えて指示を出す人、実際に動く人が必要です。

その「人」が、社長であるあなたです。

そして商品を作るにはお金がいりますね。
そのお金を出す人が、株主。
一人株主=一人社長のケースでは、この株主も「あなた」になります。


株主や社長は、コピーロボットを変身させることができ、その目的も変えられます


会社がドラえもんのコピーロボットと違うのは、株主や社長が望めば、コピーロボットを車やバス、船に変えて同乗者を増やすことができるという点、それから目的なども自由に変えられるという点です。

まず、経営者である取締役、社員、株主を増やしたりできます。

人を増やして事業を拡大したければバスや船の形態を目指すこともできますが、一人株主=社長のまま、ずっとコピーロボットでいることもできます。
また、場合によっては船をバスに戻すこともできます。

コピーロボットを変身させるということは、あなた自身と同じ理念を共有する人を増やす、というふうにも考えられますね。

したがって、節税目的の会社設立は、コピーロボットでい続けることを選択するということですし、事業拡大のための会社設立であれば、船を目指す、ということになります。

そして、ロボットの目的、存在意義、進む方向性もまた、自由に変えることができるのです。

会社は設立時にその目的を決めるのですが、設立後に追加することも、まったく変えてしまうことも可能です。

例えば飲食業で会社を興した後、そのノウハウを生かして飲食業専門のコンサルをする、とか、不動産を所有して不動産賃貸業をする、とか。

ロボットの名前、つまり社名を変えることだってできます。

ただ、目的や社名が変わっても、バスや船に変身しても、最初に作ったロボット自身の命、魂のようなものは、変わらないのです。

一度法務局に登記された会社は、途中でどんな風に変わったとしても、清算決了をして会社を完全にたたむまで、ずっと変わらずに生きています。


大切なことは、どのような会社にするかを、あなた自身が決められるということです


すべての会社が船を目指すべき、最初に決めた目的を貫くべき、ということではもちろんありません。

コピーロボットのままだっていいし、途中で目的を変えたっていい。
バスにしたけどやっぱりコピーロボットに戻すことだってあるし、どこかの船に吸収される(=合併)こともあるかもしれません。

目的を達成、もしくは達成できずに、会社をやめたりすることもあるでしょう。

でも大切なことは、どのような会社にするのかは、社長であり、株主であるあなた自身に選択権があるということです。

そして、あなた自身が望めば、どんな会社にすることもできる、ということです。


会社は簡単に作れるからこそ、すこし立ち止まって考えてほしいことがあります


会社は利益が出なくても存在する限り毎年一定の税金を納めなければなりません。
個人事業主よりも確定申告は複雑です。
それから株式会社であれば最長でも10年ごとに変更登記が必要です。

また、一度作った会社は、簡単にたたむことはできません。
プラス財産とマイナス財産を完全に清算しないといけないし、マイナス財産が多ければ、人間と一緒で破産手続きが必要になることもあります。

会社を作るのは、手続き上とても簡単になりました。
ただそれを継続する、又はやめるにはそれなりのお金と、労力がかかります。

節税目的の場合、税理士などの専門家によく相談されて、節税メリットと比較することをお勧めしています。



会社は、仲間を増やす場所でもある


うちの事務所は会社ではありませんが、小さいながらも事務所を経営して思うのは、事業を継続していくことは簡単ではないということ。


これまでのやり方がうまくいかなくなることもあるし、苦しいときだってあります。

ひとりで抱えてると不安で胸がいっぱいになることもあります。


だけど大変なときに一緒に乗り越えて、目標を決めたり、うまくいったことを共有できる仲間がいるということが仕事のモチベーションになっています。


不安を乗り越える方法を一緒に考えることが楽しく感じられたりします。


コピーロボットをバスに、船にするということは、社長の想いや理念を共有できる仲間を増やすということです。


私のように個人事業でも従業員を増やすことはできます。
けれど会社にすると社長と会社の財布が分けられますので、社長の気持ちの面でも会社形態の方がより社長と従業員の想いを共有しやすいのではないでしょうか。


誤解しないでいただきたいのですが、節税目的の会社設立を否定するつもりは、もちろんありません。

お伝えしたいのは、「会社設立は節税目的だけではない」ということです。

あなたの想い次第で、どんな会社にもできます。


あなたはどんな会社を作りたいですか?