司法書士の仕事の、原点を考える

衝撃のニュース…

こういう事件が起こると、司法書士の主な仕事のひとつである「決済立会」という仕事の原点を考えさせられます。



不動産取引の最後、決済立会の仕事。


買主さんからすれば、

「確実にその土地が自分の名義になると司法書士が確認したから、安心して売買代金を支払える」


売主さんからすれば、

「きちんと売買代金を支払ってもらえるから、名義変更の書類である印鑑証明書や権利証を司法書士に渡す」



どちらも司法書士を信用しているからこそ成り立つものです。


司法書士がOKを出したから、お金を支払って、契約が完結する。



正直なところ、精巧な偽造パスポートや印鑑証明、権利証を見抜けるかといわれると、

私は自信を持てません。



偽造された権利証を使って所有権移転登記が通ってしまい、


本人確認を怠ったということで司法書士が損害賠償責任を負ったという判例もあります。


今回のケースとは違い、法務局も本物と勘違いした権利証です。


それでも司法書士は責任を負う。




こういった事件は、悲しいことですがどこかで起こってしまうものです。


そんな事態も想定して仕事をさせていただくのですが、


特に私が意識しているのは、取引全体の流れ。



司法書士は決済の場で取引の関係者と初めてお会いするケースがほとんどなのですが、


それまでにも決済がスムーズに行われるよう段取りや調整をしたりもします。


それを踏まえて決済を迎えるので、


もしどこかに違和感があれば、しつこく確認をします。

(たとえ不動産屋さんに面倒がられても…(*_*;)



幸い事件に巻き込まれたことも、不審な取引にかかわったこともありませんが、


もしそれでもそんな立合いをしてしまったら、


交通事故にあうようなものだと覚悟はしています。




問題なく、無事に決済が執り行われるのが当然で、


事故がおこれば司法書士の責任。



取引の安全のために信頼していただき、


報酬を頂く司法書士だからこそ、


そう考えるのが自然なこと。



決済立会でなぜ司法書士が必要とされるのかを考えれば、当然のことです。