制度を支えているもの

成年後見人の仕事をさせていただいています。



耳が痛いのが、同業者の横領事件。



申立件数の増加も相まって、裁判所の運用も変わりました。



今まで問題なく後見業務をされていた方でも、財産の額によっては、


「後見制度支援信託」の利用をするか、


「後見監督人」を追加選任するか、


選択するケースが増えています。



ニュースなどで大々的に取り上げられるので目立った印象はありますが、



表面化していない事件があるにせよ、


「横領をする後見人はごく一部」です。



一部だからいいということでは当然なくて。


その一部の人のために、


再発予防のために、


後見制度やそれに携わる司法書士の信頼を揺るがせないために。



組織がルールを厳格化したり、


私たちの業務が煩雑化することは、


一定の範囲で許容せざるを得ないのだと思います。



おかげで事務作業がものすごく増えたので、迷惑なことには違いありませんが…


ただ、それが資格制度を前提として仕事をしている私たちの責任でもあります。



「司法書士」という肩書で一定の信用をいただき、


登記などの独占業務ができるということは、


同業者の犯した罪に対する社会の信用低下についてもまた、共有するということ。




そして平たく言えば手続きの代行ともいえる司法書士などの資格制度が、


今後発展の期待されるAI社会に必要とされ続けるための絶対条件は、


その制度に対する「信頼」と、


それを支える「一人ひとりの倫理観」。




改めて意識をし直して、仕事をしたいものです。